社長ブログ

社長、五輪に思いを馳せる⑤

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。ウイルスや細菌への感染やワクチンの接種によって後天的に手に入れる抵抗力を『獲得免疫』と呼ぶのに対し、病原体に対して生まれつき持っている防御機能を『自然免疫』と言います。アフリカに起源を持つ現生人類はアジア・ヨーロッパに進出する過程で、旧人類のネアンデルタール人やデニソワ人と交配を繰り返し、彼らの病原体に対する強い『自然免疫』を獲得して来たというのが近年の定説。

私たち現代人は最大で約2%程度、ネアンデルタール人由来のDNAを持っているそうで、白い肌や青い目 金髪など、外見上の特徴を色濃く受け継いだのが欧米系の白人、混血の影響をほとんど受けていないと考えられているのが、アフリカ大陸に残った黒人。そして、ネアンデルタール人の強力な『自然免疫』に関連する3つの遺伝子(TLR6-TLR1-TLR10)について、最も高い割合で継承していているのが日本人なのだそうで、その割合は驚きの51%。つまり私たちの二人に一人は、先天的に強い免疫力を持っています。「アジア大陸横断の長旅で、ホモサピエンスは より多くの旧人類たちと交流しながら彼らのDNAを濃縮、極東の地で縄文人という特異集団を形成した。そして その縄文人の子孫である私たち日本人が、ネアンデルタール人由来の特殊な遺伝子を最も高い確率で受け継いだ」と考えれば、何の不思議もありません。この『自然免疫』を司る3つの遺伝子、実は花粉症の文脈の中で悪者扱いされることが多かったのですが、世界がコロナショックに喘ぐ中、相対的に少ない東アジアの感染者数・死者数(人口比)の秘密を説明する上で、有力な手掛かりとなりそうな気がします(私見です)。

さて今回は、2016年9月の朝礼で取り上げたエピソード。ロンドンの惨敗から4年、リオ五輪で復活を遂げた男子柔道のお話です。金2銀1銅4の計7個、1964年の東京五輪以来52年振りの全階級でメダル獲得と、日本チーム全体に勢いを付ける大活躍を見せてくれましたが、当時はメダルを取った選手本人達よりも、新たに指揮を任された井上康生監督の指導者としての手腕を称える声が目立ちました。確かに、2018年7月に出張で奈良に行った時、偶然ホテルでお見掛けした井上監督、スーツの上から見ても分かる屈強な肉体は、現役引退から月日が流れたことを全く感じさせず、その後ろ姿は凄まじい “オーラ” を放っておりました。しかし、まずは選手を褒めてあげたいですよねぇ(苦笑)。お家芸として「金メダル以外はメダルに非ず」と考える柔道界に於いて、敗者復活戦を勝ち抜いて勝ち取った銅メダル4個は、選手たちが最後まで諦めずに戦い抜いた証しです。

リオ五輪までの4年間に変更されたルールが、日本柔道に味方したのも間違いありません。国際柔道連盟は、2013年に『両手刈り』や『朽木倒し』等、タックルのように足を掴んで相手を倒す “力技” を全面的禁止、組み合って投げ技を競い合って “興行” として見栄えのする柔道に、大きく舵を切ったんです。結果、フィジカルの強さを活かしたパワー柔道『JUDO』から、柔よく剛を制するという柔術から発展した武道である、日本古来の『柔道』への回帰現象が起こったという訳ですね。仮にこのルール改正について、日本柔道界から積極的な働き掛けが有ったとしても、そして、そのルール変更が日本勢に有利に働いていたとしても、リオで獲得したメダルの輝きが、色褪せるということはないと思うのですが、2016年当時、この事実が報道されることは殆ど有りませんでした。

個人的には、現在タレントとして大活躍中の篠原信一前監督も、貢献度が かなり高かったんじゃないかと思っています。リオ五輪の始まる前、彼がお茶の間の注目を一身に浴びてくれたお陰で、現役の選手・監督は変なプレッシャーを受けずに、練習に集中できた訳ですから(笑)。

4月7日の緊急事態宣言の発出から約1ヶ月、私たちは、海外メディアから “ギャンブル” とまで酷評された『日本方式』を貫いて来ました。厳しい状況が続く中でも、医療関係の皆さまのご尽力により犠牲者数は最小限に抑えられ、何とか瀬戸際で踏み止まっている状況に見えます。”力技”のロックダウンを実施しながら、感染爆発・医療崩壊を止められなかった欧米諸都市と、一体 何が違ったのか?ニューヨーク州で亡くなった方の、約7割がアフリカ系住民とのデータを見るにつけ、国による防疫対策や医療水準の違いを遥かに超越した、何か特別な力が作用しているとしか、私には考えられないんです。日本人の生活様式によるものなのか、コロナウイルス間の交叉免疫が働いているのか、BCGワクチンの効用か、或いは、旧人類譲りの強力な『自然免疫』なのか?それらが複合的に機能しているのかも知れません。分かりません。科学の未発達だった時代に、このような現象を “神風” と捉える人たちが居たたとしても、私たちに それを責めることは出来ないでしょう。

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※誤りを訂正しました。【誤】攻める→【正】責める