社長ブログ

社長、プールで泳ぐ⑧

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。この夏に流行ったものと言えば、『タピオカドリンク』でしょうか。財務省の発表によれば、2019年7月のタピオカとその代替物の輸入量は、1,799トンと前年同月比で5.2倍。空前の『タピオカ・ブーム』と言って良いでしょう。その89%は台湾から輸入とのこと。キャッサバ芋の澱粉から作られるタピオカは、糖質の塊です。1杯の『タピオカドリンク』に含まれる糖質量は、角砂糖20~30個分に相当するそうですから、2015~2016年頃、一気に火の付いた糖質制限ダイエットも、今や昔という感じがします。

スイーツ・ブームで私が思い出すのは、1993年(平成5年)の『ナタデココ』です。この会社に入社する1年前、ファミレスD社でアルバイトをしていた頃に流行ったのが、この『ナタデココ』で、シロップ漬けのナタデココを器に掬って、飲むヨーグルトを注ぎ、イチゴのソースとよく混ぜて、アイスとミントをトッピング。こちらは一食380円で、カロリーは165 kcalと角砂糖10~15個分くらい。私のシフトが平日のランチタイムであったにも拘わらず、多くのお客様からご注文頂いたのを覚えています。消費税はまだ3%、私も含めて日本の若者たちが、バブルの残り香を楽しんでいた頃のお話です。

さて、世界金融危機以降、景気低迷の続いた2008~2009年頃、競泳界を席巻していたのが、所謂『高速水着』です。ポリウレタンやラバー製の素材で撥水性が高く、体が浮く感覚が得られ (空気を含んで、実際に浮き易い素材も開発されました)、且つ、一人で脱ぎ着するのが難しいくらいの強い締め付けで、体の凸凹を補正、体軸も真っ直ぐに安定させることで、抵抗を極限まで減らす効果が有ったようです。私はこの頃、ちょうど水泳から離れていたので、個人的には、この手の水着を試したことが有りませんが、優雅に『タピオカドリンク』など飲んでいたら、あっと言う間に着られなくなることでしょう(苦笑)。もっとも、第一線で活躍する競泳選手の食事量は、平均的な成人男性の約5倍、なんと、1日に12,000 kcalにも上るそうですから、彼等にとっては、練習合間の水分と栄養補給に、丁度良い飲み物かも知れませんけどね。

水着によるタイムへの影響が大きかった為、選手同士の不公平感を解消し、メーカーの行き過ぎた開発競争を抑制すべく、国際水泳連盟が2010年4月以降、水着の素材と形状を制限。所謂『高速水着』の着用は、禁止となりました。そんな『高速水着』全盛期の2009年に、『水の怪物』フェルプス選手が叩き出し、不滅と思われた100mと200m バタフライ2種目の世界記録が、今年の世界選手権で、とうとう塗り替えられました。人間って、いったい何処まで強くなるんでしょうか。

今回は、2019年9月の朝礼で取り上げたエピソードを元に、話を膨らませてみました。米中貿易戦争や日韓関係の悪化、世界的に設備投資も鈍化する中、中東情勢も緊迫する等、10月の消費税増税を前に、日本経済にとっても良くない材料が増えてきました。昨今の『タピオカ・ブーム』は、私の中で、バブル崩壊の記憶と重なります。甘い物を楽しむのも良いですが、気付かぬうちにブクブクに太って、身動きが取れなくなってからでは手遅れです。いざという時に しっかり体が動くよう、そろそろ準備を始めた方が良いかも知れません。弊社の経営理念には、『闘う』という言葉が、2回 現れます。その『闘う』相手とは誰なのか?他でもない、己の中に住む、心の弱い『自分自身』なのです。

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※誤字・脱字を、修正しました。

 

社長、プールで泳ぐ⑦

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。今や日本は人材難。深刻な人手不足が叫ばれる中、海外から日本にいらした皆さんが、色々な場所で活躍する姿を拝見します。今、コンビニでアルバイトすることが、留学生の中では一種のステイタスなんだとか。確かに、現在のコンビニで提供している幅広い商品・サービスを、母国語ではない日本語で、的確に素早く提供する接客能力には、頭が下がります。バックヤードでは検品作業に入出庫、もし、売れ筋管理や廃棄ロスまで考慮する必要のある、発注業務まで任されたら、そこには小売店舗の経営ノウハウ満載。日本人でも全てを習得するには、随分と時間が掛かるでしょうから、彼らがそんな職場で働くチャンスを手に入れたら、それを誇りに思うのも分かります。

世の中には、純粋な単純作業などと言うものは、存在しない気がします。単純に見えて、そこには多くのノウハウが隠れていて、経験からより多くを学ぶ人が、真の一流になれるんではないでしょうか。今回のエピソードは、2014年5月の朝礼で取り上げた『1万時間の法則』について。ある分野で一流と呼ばれる人たちは、センスや才能の有無は別として、その域に到達するまでに凡人を遥かに凌ぐ時間を練習に費やしており、その目安が1万時間だと言うもの。大事なのは『量』ではなく『質』であるとの考えが主流となって来た今、これには賛否両論あるかも知れません。もし、説得力有りと感じて頂けたら、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

日米通算4257安打の偉業を達成し、この春、惜しまれながらも現役を引退した球界のレジェンド、イチロー選手が、小学校3年生からの7年間、バッティングセンターに通い詰めたというのは、有名なお話。イチロー選手のみならず、超一流は人一倍努力を積み重ねてきたという逸話は、よく耳にします。モノづくりのグローバル化が進む中、私が英会話のトレーニングを開始して、9年余りが経ちました。自分の得意分野の話題なら、自分でも外国語を使っていることを全く意識しないくらい、ペラペラとお喋りをしていることもありますが、自分の頭が、所謂『英語脳』に切り替わらなことも時々あって、そんな時は、自分の無力さに 本当にがっかりさせられます。実務で英語を使う機会の殆どない私に、『1万時間の法則』を当てはめてみると、1日2時間・1年365日、英語に接する時間を割いて、一流の技術や知識の習得には、13年8ヶ月掛かるという計算。妙に納得させられる数字がはじき出され、日本人として “平均的な” 大きさの海馬を持つ凡人としては、『量』に於いても『質』に於いても、もっともっと努力しなければならんと、再確認した次第です(苦笑)。

設計製作と多種少量生産に強みを持つ、弊社の製造現場。作業標準書やマニュアルの整備を進めましたが、幾つかの分野には、習得に時間の掛かる『熟練技術』が残っています。『石の上にも三年』、1日8時間・年間250日働いた場合、1万時間の経験を積むには、5年掛かるという計算になります。長いと感じるか、短いと感じるかはその人次第。必ずしも自ら進んでやりたいような、内容の仕事ばかりではないかも知れません。間違うかも知れない、ミスをするかも知れません。しかし、それも一つの経験。人間、失敗から学ぶことも、たくさんあると思うんです。「今後10~20年で、多くの仕事が人工知能に置き換えられる」と言われて久しいですが、今もなお、世界に繋がる日本のサプライチェーンは、私たちのような凡人の、小さな努力の積み重ねによって、支えられているんですよ。

※誤りを訂正しました。【誤】開始して、10年余り→【正】開始して、9年余り

 

社長、プールで泳ぐ⑥

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。台風一過、今日も暑くなりそうです。

健康管理は、社長にとって大切な仕事の一つ。先日、遺伝子検査キットを購入し、病気の発症リスク等、自分の遺伝的傾向を調べてみたところ、検査結果280項目の一つに『遺伝的に海馬が小さい』と。海馬は、脳の記憶力や空間認識能力を司る非常に重要な器官で、それが生まれながらに小さいと。今更の指摘に正直ショックを隠し切れず、何かの間違いではないかとも考えましたが、自分でも思い当たる節がない訳でもなかったので、最後は、運命として受け入れることに決めました。これからは、『遺伝的に海馬が小さい』人間として、精一杯生きよう、人一倍努力しようと・・・

それはさておき、男なんて単純なもので、スポーツの祭典での選手の活躍を見ると、少なからず刺激を受けるものです。20日(金)に開幕するラグビーW杯は、1ヶ月半近くに渡る長丁場。今は盛り上がりに欠けるきらいもありますが、10月末頃には、南アフリカの大男に負けず『ラグジャー』の似合う、筋肉ムキムキのマッチョを志向する男どもで、スポーツジムが ごった返しているかも知れません。今回お届けするのは、2018年3月の朝礼で取り上げたエピソード。前回のブログでは、画期的な省エネ泳法を紹介しましたが、今回は、要領よく泳ぐだけでは、やはり世界を相手には戦えないというお話。説得力有りと感じて頂けたら、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

日本のお家芸と言われてきた平泳ぎ、特に五輪で2種目2連覇を成し遂げた、北島康介選手の洗練されたフォームには、世界の誰もが注目したものです。その美しい『ストリームライン』で水中を効率良くグライドし、ストローク数を極限まで減らした、2008年の北京五輪100m平泳ぎのレースは秀逸。前半の50mを16ストロークで折り返すと、後半も焦ることなく20ストロークでフィニッシュ。ゴールタイムの58秒91は、当時の世界記録です。ところがですね、一人のスイマーの出現により、この流れが大きく変わってしまったんです。その名はアダム・ピーティー。イギリスの選手で、190cmを超える長身とフィジカルの強さを活かして、兎に角パワフルに泳ぎます。2016年、リオ五輪でのピーティー選手のストローク数は、前半21後半25と北京の北島選手より片道で5回も多く、パワーを活かしたピッチ泳法で最初から最後まで泳ぎ切って、優勝タイムは驚異の57秒13。今年の世界選手権では、より洗練された泳ぎで、自らの世界記録を 56秒88まで縮めました。

『テクニック』の時代から『パワー』の時代に移行したと言われる、平泳ぎ短距離種目、注目すべきは、ピーティー選手の水中映像です。水の上から見た時の、躍動感溢れる荒々しい印象とは対照的で、水中の腕と脚の動きは非常にコンパクトに纏められ、淡白と言えるくらい無駄のないスムーズな動きです。これは、世界一美しい『ストリームライン』と評された、北島選手と共通する部分で、水から受ける抵抗を、極限まで減らす『テクニック』についても、ピーティー選手は、ピカイチなんじゃないかと思います。『パワー』と『テクニック』を兼ね備えた、1994年生まれの24歳。一人実力が頭抜けているので、来年の東京五輪、100m平泳ぎの金メダルは、ピーティー選手で ほぼ確定。あとは、彼がどんなタイムで泳ぐのか、東京での世界記録の更新が楽しみです。

中小企業が、グローバル・サプライチェーンの一翼を任されるということ。サプライチェーンの仲間と共に、世界で戦っているという自覚と責任。要領よく泳ぐだけでは駄目で、人一倍の努力が必要だと思います。従業員の皆さんには、そこに喜びと誇りを感じて、日々の仕事に取り組んでもらいたいですし、そう思ってもらえる職場環境を整えることが、私の使命なんだと思います。

さてさて。その後、悶々と生活すること1~2週間。気持ちの整理もついたところで、検査結果の詳細を改めて読み返してみると、そこには、「日本人の65.8%は、海馬が(やや)小さいタイプに分類される」と、そう書いてあるじゃないですか。世界標準で見るとやはり小柄な日本人、体が小さければ頭蓋骨も小さくて、そこに収まる海馬も、若干小振りという訳ですね。なるほど、大男のピーティー選手が、私より大きな海馬の持ち主であることは、間違いなさそうです(苦笑)。

 

社長、プールで泳ぐ⑤

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。『ストリームライン』というビジネス用語を、耳にする機会が増えました。名詞として使うと『流線型』、動詞では『無駄をなくして、合理化・効率化する』という意味です。陸上運動の800倍以上の抵抗を受ける、水泳の世界ではよく使う表現で、壁を蹴った後の蹴伸び等で、水の抵抗を最も受けにくい水中姿勢のことを言います。以前お話の通り、目線一つで水中姿勢も変わりますし、『ストリームライン』を維持するには、『体幹』を鍛えることも重要です。

さて、旋盤一台、小さな鉄工所からスタートした弊社。創業期から受け継がれた、『労働=美徳』という価値観を、私は否定しません。しかし、どんなに頑張っても向上しないのが、日本の労働生産性。これは今始まった話ではなく、1980年以降、OECD加盟国(現在36ヶ国)中20番目前後の順位は、バブル期もデフレ期も、景気の良し悪しに関わらず、ほとんど変わっていないんです。そんなこんなで、この4月にスタートした『働き方改革』。『一生懸命頑張る』だけでは駄目で、長い人生、要領よく泳ぎ切るコツを身に付けることも、大切なのかも知れませんね。2016年3月~4月の朝礼で取り上げたのが、『ストリームライン』を保ち抵抗を減らすことで、体力の消耗を抑え しかも速いという、画期的な省エネ泳法。説得力有りと感じて頂けたら、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

ビート板を持ってバタ足って、水泳入門編の定番だと思います。この単純な基本動作が、私の知らないうちに、根本的に変わっていました。私が高校生だった頃のバタ足とは、上から下に、脚を大きく振り下ろして、水面を叩くような片道運動。私自身も、大きな水飛沫を上げれば上げる程、推進力が増して速く泳ぐことが出来る、そんな風に考えていました。この動きを『ダウンキック』と呼びます。一方、現代のバタ足は往復運動。『ダウンキック』にプラスして、足の裏を使って柔らかく蹴り上げる動作、『アップキック』も意識的に行います。抵抗を減らす為、脚の振り幅は小さく細かく、大きな水飛沫は立てません。

初心者の場合 腰が沈むことの多い、背泳ぎに於いては、理想的な水中姿勢を保つ為に、『アップキック*』の比率が 60~70%と言うのですから、苦手克服の為、力任せに非効率な『ダウンキック*』を打っては、25m持たずに、ヘトヘトに疲れてしまっていた私にとっては、カルチャー・ショック以外の何物でもありません。実際に挑戦してみると、『アップキック*』を習得するのは、非常に難しいです。恐らく、殆どの方が意識したことのない動きですから、どのタイミングで、どの筋肉に、どう力を入れれば良いか、全く見当も付かない筈です。入江 陵介選手のキックが、最高のお手本だと思いますので、水中映像を参考にしてみて下さい。一旦 コツを掴めば、少ないキックの回数でも、腰を浮かして『ストリームライン』を保てることを、実感できると思います。

勘違いしてはならないのは、『ストリームライン』を維持するだけでは、体は前に進まないということ。推進力の70%を担う、プル(腕による掻きの動作)の強化も重要であることは、言うまでも有りません。頑張るべきところは、しっかり頑張るということですね。

なお、背泳ぎでは、本来、アップとダウンの関係性が反対になるのですが、分かり辛くなるので、便宜上、足の甲で蹴るのを『ダウンキック*(背泳ぎでは、アップキック)』、足の裏で蹴るのを『アップキック*(背泳ぎでは、ダウンキック)』と、ビート板を使ったバタ足と同じ表現のまま、説明をさせて頂きました。

※誤字・脱字を修正しました。【誤】言ます。→【正】言います。