社長ブログ

社長、水素で走る⑧

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。かつて地球に君臨し、我が世を謳歌していた巨大生物『恐竜』は、6,550万年前、突如として地上から姿を消してしまいました。メキシコのユカタン半島に、直径約10kmの巨大隕石が衝突。発生した火災による煙や、衝突時に巻き上げられた塵埃が太陽の光を遮り、所謂『冬の時代』が到来。地球寒冷化により、全ての生物種の70%が絶滅、『恐竜』も生き残ることが出来なかったと。世界各地のK/Pg境界と呼ばれる特定の地層から、大量に発見されたイリジウムは、地表には殆ど存在しない稀な元素で、隕石衝突の物的証拠と考えられています。そんな逆境の中でも、『恐竜』たちの一部は鳥類へと姿を変え、厳しい『冬の時代』を生き抜いたというのが、最近の通説。彼らの生き残り戦略は、如何なるものだったのか?今回は、2010年10月に取り上げた話。当時、日本の製造業の置かれた状況は、内需は縮小、輸出は円高、頼みの綱の中国は尖閣問題と、自助努力ではどうにもならない、まるで、隕石衝突という外的要因で絶滅の危機に瀕した、『恐竜』たちに そっくり。もし、共感頂けるようであれば、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

毎年秋になると、チベット方面から8,000m級のヒマラヤ山脈を越えてインドに渡る、『アネハヅル』という渡り鳥がいるそうです。我々人間を含む哺乳類は、横隔膜の伸縮によって、空気を吸ったり吐いたりします。空気の流れは行ったり来たり。その際、肺の奥底にはどうしても多少古い空気が残ります。一方、鳥類の呼吸システムは、気嚢という給排気用のポンプがあって、肺の中には一定方向に新鮮な空気が流れ続け、酸素の供給効率という点で、哺乳類の肺よりも、はるかに優れているのだそうです。だから『アネハヅル』は、ヒマラヤもひとっ飛び。人間がエベレストに登るのは、命懸けです。

2005年には、『恐竜』にも鳥類と同じような気嚢が存在した可能性を示す化石が、発見されました。恐竜が誕生し繁栄するに到った時代は、二酸化炭素濃度が現在より凡そ5倍も高く、逆に酸素濃度は10%程度と、現在の21%よりかなり低かったことが分かっています。人間は18%程度で意識朦朧、その低酸素の環境に適応可能な気嚢を持った『恐竜』たちが、その後の繁栄を極めました。また、鳥のような羽毛を持つ恐竜の化石も、数多く発見されていて、元々は、「幼い個体が体温を保つ為のものだったのではないか」とか、「求愛行動用のディスプレイだったのではないか」等と考えられています。そして、その恐竜の呼吸システムと羽毛を受け継いだ鳥類が、隕石衝突の危機を乗り切り、酸素濃度の安定した今、地表には哺乳類、空気の薄い大空には鳥類という構図が出来上がったんです。

動物の進化って、実は必然的なものではありません。かつてラマルクは、個体が環境に順応し、順応した形質が遺伝していくと考えました。キリンの首が長いのは、木の葉を食べる為に努力して首を伸ばしたからだと。ダーウィンは、自然淘汰により、環境に適した形質をもつ個体が生き残っていくと説明しました。適者生存。更にその進化は、突然変異によって、偶発的に引き起こされるというのが最近の学説。『恐竜』だって鳥になって空を飛ぶことを想定して、気嚢やら羽毛を身に付けた訳ではありません。いくつかの偶然が重なって、鳥として生存競争に勝ち残った。ラッキーだったんです。

『ミドリムシ』については、前回、お話ししました。海に住むサンゴの仲間が、植物性プランクトンと共生関係にあるのは、ご存知の通り。また、軟体動物のウミウシには、食物から葉緑体を取り込み光合成を行う能力(盗葉緑体現象)を持つ、特殊な種類が存在します。最近では、アブラムシやサンショウウオの中にも、光合成の出来るタイプがいることが、明らかになって来ました。2017年現在、大気中に二酸化炭素が占める割合は、0.40%に過ぎません。しかし、産業革命以前と比較すると、その量は46%も増加しており、今後も増え続ける見込みです。『Go Green(緑になる)』な生き残り戦略、偶発的に引き起こされるのを待つ時間的余裕は、我々人類にとって、それほど残されていないかも知れません。

社長、水素で走る⑦

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。環境に配慮した生活スタイルを取り入れることを、英語で、『Go Green (緑になる)』って言います。面白いでしょ?ところが、そんな『グリーン』な生き方を先取りしたEVオーナーの多くが、他の人に対しては、EVに乗ることを薦めないんだそうです。何故かと言うと、充電スタンドに、これ以上の行列が出来るのは困るから(苦笑)。その気持ち分かりますよ。私の場合は、水素ステーションのない群馬・栃木には、怖くて車では近付けませんし。環境に優しく生きるには、社会インフラの充実って不可欠です。今回は、2009年12月の納会で取り上げたエピソード。もし、共感頂けるようであれば、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

2009年9月、鳩山政権が『政治主導』の名の下に、「二酸化炭素の排出量を、1990年比で25%削減する」と宣言し、産業界の非難を浴びました。そんな頃、東大発の某ベンチャー企業が、ある単細胞生物を使って開発した健康食品で、世間の注目を集めていました。鞭毛という器官を使って動物のように動き回り、植物のように葉緑体を持っていて光合成も行う、その名も『ミドリムシ』。光合成の過程で二酸化炭素を吸収する点に着目し、同年、火力発電所の排出ガスを利用した『ミドリムシ』の培養に成功。それから10年、2019年には大手商社の協力を得て、『ミドリムシ』を原材料とするバイオ燃料や家畜の飼料の商用化へ向け、第一歩を踏み出しました。舞台はインドネシアの火力発電所。『化石燃料』由来の二酸化炭素から『グリーン』エネルギーを作り出し、更に『グリーン』な餌で家畜まで育ててしまおうとは、思考回路の凝り固まった気象学者の皆さんには、思いも寄らない発想でしょう。

畜産・酪農も、大量の温室効果ガスを排出し、環境負荷が高いと批判を浴びる産業の代表例です。そこで飼育される動物たちの落とし物も決して無駄にしないのが、日本の某大手自動車メーカー。家畜の排泄物や、汚泥等の廃棄物系バイオマスから水素を取り出し、その水素を元に燃料電池を使って発電を行う計画です。2020年の稼働開始を予定。発電量は一般家庭およそ2,350世帯分。併設の水素ステーションを通じて、水素をそのままFCVに供給することも可能ですし、スタンドを作ればEVの充電にも対応。自動車の多様な有り方を見据えたこの『燃料電池発電所』は、米国のカリフォルニア州に建設中です。北海道辺りにはピッタリ。北関東にも是非作ってください。美味しい和牛も食べたいし!!こうして環境・省エネ技術の進化を見て行くと、10年前に鳩山さんのぶち上げた無謀な国際公約も、世界に向けた営業トークに聞こえてきますから、なんとも不思議なものです(苦笑)。

さて、荒野に広がる無数のソーラーパネルや集光ミラーは、今や環境に優しい『グリーン』エネルギーの象徴的存在。10年前に注目を集めていたのは、『太陽熱発電』の方。太陽光を鏡で集め、その熱で水を沸騰させ、水蒸気でタービンを回して発電する仕組みは、直射日光の降り注ぐ、砂漠地帯にはピッタリ。当時は『太陽熱発電』の方が、発電効率が良かったようです。この10年間で『太陽光発電』の性能も大幅に向上、変換効率40%を目指す製品まで現れました。では、これで満足して良いかというと、そういう訳にも行きません。温暖化のみならず、人口爆発・食糧難と、地球の未来は問題山積。本来優先すべきは何だったのか?それは砂漠緑化の試みであり、そこに豊かな穀倉地帯を作ること。可能性の残された広大な土地が、不毛なまま、人工的なソーラーパネルや集光ミラーに埋め尽くされて行く姿は、本末転倒、何だか『グリーン』とは程遠い存在にも思えてきます。

最後に、以前ご紹介した科学者として未来を切り開くのに必要な6つの力、皆さんは覚えていらっしゃいますか? ①質問力、②観察力、③ネットワーキング力、④実験力、⑤関連付ける力、⑥『勇気』の 6つです。科学の力を信じると言うのなら、「大切な地球を守る方法は、一つしかない」と、先入観で決めつけちゃ駄目なんです。例えば、遠い未来まで見据えた、人類の採るべき有力な選択肢の一つとして、遺伝子編集技術を駆使、人体にも葉緑体を取り込んで、光合成で自給自足なんてどうでしょう?正真正銘の『Go Green(緑になる)』です(笑)。『昆虫食』よりは、多くの賛同が得られるのではないかと、個人的には考えていますけどね。

※誤字・脱字が有りましので、修正しました。一部、表現を変更しました。

社長、水素で走る⑥

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。10月に上陸した台風19号は、東海地方から関東甲信・東北地方まで、広範囲に渡って、大きな爪痕を残しました。異常気象が頻発し、地球規模で気候変動が進んでいることは、もはや疑いのないところですが、ここに来て、温室効果ガス排出量第2位の米国が、気候変動を抑制する枠組みであるパリ協定からの離脱を、正式に表明しました。

パリ協定の骨子は、次の2点。①世界の平均気温上昇を、産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする。②そのため、できるかぎり早く、世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる。パリ協定の良いところは、『ボトムアップ方式』を採用した点。日本も2016年11月に批准し、締約国の一つとして、2030年度までに『2013年度比で26%削減』することを、中期目標として掲げました。争点となっているのが、二酸化炭素を悪玉と考える、”所謂”『地球温暖化説』。最も有力と言いながらも、誰かが実証した訳でもなく、一つの仮説に過ぎませんから、今なお、根強い懐疑論があるのも事実です。という訳で、今回は2010年3月の朝礼から。その冬に開催されたバンクーバー五輪が、極度の雪不足に悩まされた一方で、アメリカ北東部では 111年振りの大雪、首都ワシントンD.C.は140cmの積雪を記録しました。もし、共感頂けるようであれば、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

私たちにとって、“恵みの太陽”。太陽にも活動のサイクルがあって、地球の天候に多大なる影響を与えることが知られています。ひとつの目安は、太陽表面の黒点の数。黒点は9~14年の周期で多くなったり少なくなったりします。黒点が多ければ太陽活動は活発、少なければ活発でない。2010年の当時は、きっちり 11年周期というのが定説でしたから、2008年から黒点が活発に出現し、2011年にはピーク(極大期)を迎える筈が、そうはならず、「地球が寒冷期を迎える可能性がある」と、一部では話題になったものです。当時、私が近くの天文台で太陽を観察した際も、本当に黒点は一つも見当たらず、ゾッとしたのを覚えています。過去のデータから言うと、200年に一度くらいは、黒点が極端に少ない時期があるそうで、1645年~1715年の『マウンダー極小期』には、英国のテムズ川が完全氷結するなど、世界各地にミニ氷河期が到来したと言われています。米海洋大気庁によれば、2019年末~2020年初に掛けて、太陽の活動は極小期を迎えるとのことですから、炎天下での開催が懸念され、今なお、様々な対策に追われる東京五輪にとっては、皮肉な結果となるかも知れません(苦笑)。

地球の表面の70%は海。残りの30%の陸地で生活している人類は、”母なる海”についても、意外と知らないことが多いです。海洋も二酸化炭素を吸収します。その量は、産業活動によって排出される二酸化炭素の約30%、毎年22~23億トンとも言われています。こんな事を主張する学者さんもいます。二酸化炭素の濃度が高くなると、海洋の植物性プランクトンの個体数が増え、さかんに光合成をして二酸化炭素を吸収する。2008年の北京五輪では、セーリング競技会場に藻類の一種のアオサが大量発生、大騒ぎになりましたが、あんなイメージでしょうか。で、二酸化炭素を吸収した植物性プランクトンは、死んだ後海底に沈み、炭素は海の底に蓄積される。だから、地球温暖化が急速に進むことはないんじゃないかと。まるでジブリ映画『風の谷のナウシカ』に登場する、『腐海の森』みたいです。

先日、国連事務総長が御自ら、石油・石炭業界に資金面で圧力を掛けるよう、金融界トップに協力を呼び掛けたそうです。『兵糧攻め』と言う訳ですか!!一部の産業を敵視し恫喝するような、そんなやり方で本当に上手く行くのでしょうか?米国のみならず、『ボトムアップ方式』に賛同して集まった仲間の心が離れても、私は知りませんよ(怒)。国ごとに設定された目標に向かって、(恐らく内心は、反発や疑問を感じながらも) 身を削る努力を重ねるているのは、一体誰なのか?省エネ・環境技術に於いて『現実解』を導き出せるのは、イノベーションを生み出せるのは、一体誰なのか?『化石燃料』と聞いた途端、反射的にヒステリーを起こすような、環境活動家の類いではありませんし、マネーゲームに興じては、しばしば過ちを犯す、強欲な巨大金融資本でもありません。口先だけのメディアも論外。事務総長には、ニュートラルな立ち位置に戻って頂き、我々のような産業界の『声なき声』にも、是非、耳を傾けて貰いたいものです。特に日本の技術屋さんは、自己主張が苦手ですから(苦笑)。

※誤りを訂正しました。【誤】焦点→【正】争点

社長、水素で走る⑤

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。熱狂の44日間が、もう直ぐ 終わろうとしています。今大会で、タックルを受けながらもボールを繋ぐ、『オフロードパス』という言葉が話題となったように、ラグビーは『自己犠牲』のスポーツ。就活売り手市場を謳歌する今の若者たちの心には、どのように映ったのでしょうか?ちなみに弊社の場合はと言うと、「私たちは、チームとして闘う気持ちと、共に闘う仲間を信じる心を忘れません。(経営理念より)」と、チームプレーを大切にする、まさに『昭和スタイル』。今回は、2010年7月の朝礼で紹介したエピソードを参考に、お話しさせて頂きます。もし、共感頂けるようであれば、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

奇跡の生還から9年、小惑星『りゅうぐう』でのミッションを終えた宇宙探査機『はやぶさ2』が、地球に戻る準備を始めるそうです。プロジェクトメンバーが一致団結、多くの困難を乗り越えて、一号機がサンプル・リターンに成功したのが、2010年6月のこと。役割を終えた『はやぶさ』自身は、大気圏突入の際、閃光を放ちながら儚く燃え尽きてしまいました。そんな『はやぶさ』の感動ストーリーに、私が思い出したのは、1974年から日本テレビ系列で放映されたテレビアニメ・シリーズ、『宇宙戦艦ヤマト』です。2010年に実写版、2017年には新シリーズが劇場公開、そして、つい先日には、『宇宙戦艦ヤマト 2205 ~新たなる旅立ち』の制作発表も有りましたから、世代を越えて、若い皆さんも御存知かも知れません。

東京五輪から10年。1974年というと、オイルショックによる狂乱物価。-1.2%というマイナス成長を、日本が戦後初めて経験し、高度経済成長が終焉を迎えたと言われる年。弊社で言えば、自動車・工作機械の部品加工から完全撤退し、営業品目をロータリージョイント・スイベルジョイントに絞った、ちょうどその頃の話です。ちょっとだけストーリーを説明しますと、西暦2199年、異星人の国、ガミラス帝国の攻撃により地球は荒廃し、人類は滅亡まであと1年。人類を救うべく、『コスモクリーナーD』という環境浄化装置を受け取りに、『宇宙戦艦ヤマト』は、宇宙の彼方イスカンダル星まで、往復29万6千光年の旅に出ます。ちなみに、1光年は9兆4,607億3,047万2,580kmですから、地球とイスカンダル星の往復は 280京0,376兆2,198億8,368万km、『はやぶさ』の7年間の総飛行距離 凡そ 60億kmの、4億6,672万9,370倍という計算になります。

『宇宙戦艦ヤマト』の長旅を支え続けたのが、宇宙エネルギーを圧縮し、超光速タキオン粒子に変換して動力とする、『波動エンジン』という夢の動力装置。航行距離は無限、ワープ航法まで実現しちゃいます。一方、長い距離を少ない燃料で飛べる省エネ型エンジンとして、世界から注目を浴びたのが、『はやぶさ』の『イオンエンジン』。電子レンジでおなじみのマイクロ波を利用して、キセノンという物質にプラスの電気を帯びさせ、高速噴射、推進力を得るんだそうです。何と言っても効率が良く、地上では1円玉を持ち上げる程度の力しかありませんが、空気抵抗がない宇宙空間で加速するには必要充分。前回の帰還で、のべ4万時間の稼働と耐久性を実証しました。今回、『はやぶさ2』に搭載された『イオンエンジン』には様々な修正が施されて、出力(正確には『推力』)が約25%アップ。1円と25銭分を持ち上げることが、出来るようになったという訳です(笑)。

『はやぶさ』の帰還が人々の心を打ったのは、そこに泥臭い人間模様が有ったから。そして、『遣り甲斐』だけが虚しく搾取された当時に於いても、私たちの心の何処かに、『自己犠牲』を肯定的に捉える感性が、少なからず残っていたからかも知れません。では、動力性能の他、制御用推進装置や通信機器にも様々な改良が加えられた、『はやぶさ2』は どうかと言うと、2020年末頃、岩石サンプルの入ったカプセルを地球に届ける予定。但し今回は、本体が大気圏内に突入することはなく、新たなミッションに向けて再び宇宙に旅立ちます。つまり、令和の空気に合わせたかのように、『はやぶさ2』は燃え尽きないんですね。確かに、自分だけが犠牲になる必要なんて有りません(笑)。

※一部、表現を変更しました。