社長ブログ

しばらくコロナとどう生きる④

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。コロナ禍により世界の経済活動が停滞する中、IEA(国際エネルギー機関)によれば世界のCO2排出量は前年比 5.8%減。打撃の大きかった航空分野では40%も下回ったにも関わらず、大気中の二酸化炭素濃度は上昇を続け、2020年の世界の平均気温は産業革命前の水準を約 1.2℃上回る水準だそうです。両者の相関が崩れたとするならば、因果関係を今一度疑って、「CO2濃度上昇には人為的な排出とは別に何か原因が有るかも知れない」と考えるのが科学的アプローチなのですが、脱炭素に舵を切った世界からは そのような意見が一切 聞こえて来ないから不思議です。

日本の石炭火力発電は、SOxやNOx等の環境汚染物質を90%以上除去する、クリーンな技術を磨いてきました。「アンモニアを混焼すればCO2排出量を削減できる」「二酸化炭素の再資源化技術に目途が立った」と訴えても、国連事務総長は “石炭中毒” の意見に聞く耳を持たず、自説の『石炭火力発電廃止論』を曲げる気はなさそうです。石炭関連産業に対して何の恨みがあるのか知りませんが、最早、目的と手段が入れ替わってしまっていると感じざるを得ません(苦笑)。バイデン米大統領の言葉を借りて地球温暖化を安全保障問題とするならば、「有事法制を以って私権を制限してでもCO2削減を強要する」という意味なのでしょう。コロナ対応と同様、私たちが普遍的価値と信じて来た自由と民主主義は、”科学” を装った権威主義を前に風前の灯火です。

国際的同調圧力に屈した訳ではないでしょう、気候変動サミットでは日本も温室効果ガスの削減目標を上積みし、いよいよ『グリーン成長戦略 』が本格化します。当面は現在の仕組みを維持しながら並行して、新しいカタチを築き上げて行かなければならないですから、二酸化炭素の排出量はビックリするほど増えると思います。また、雲を掴むような開発案件に税金が湯水のように投入されるかも知れません。が、ヒステリーを起こさないで見守って下さい。私たち産業界の努力次第で、”南太平洋の楽園” ツバルを海底に沈ませないくらいは、実現可能かも知れませんので。

なお、WDCGG(温室効果ガス世界資料センター)は、2020年の二酸化炭素濃度に関する公式な数字を まだ開示していないようです(『WMO温室効果ガス年報 』の発行は、毎年10~11月頃)。

※誤りを修正しました。

 【誤】有事法制を以って主権を制限→【正】有事法制を以って私権を制限

※一部、加筆修正しました。

※グラフに誤りが有りましたので、修正しました。

 

しばらくコロナとどう生きる③

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。抱えきれない程の宿題を貰って帰ってくるのは明白なので、少し気分を変えましょう。日本の『グリーン成長戦略』には、中高層の建築物ですら木造(植物性素材はカーボンニュートラル)にしようという、野心的な取り組みも含まれます。今回は久々に、過去の朝礼(2015年11月)で取り上げたエピソードから。鋼鉄の五分の一の軽さで強度はその約5倍、熱にも強く透明な材料に加工することも可能という、夢の新素材について話をさせて頂きたいと思います。

その新素材というのは『CNF(セルロースナノファイバー)』。木材に含まれる植物繊維を機械的・化学的に解きほぐした、白色半透明の糊のような物質です。その特性を生かして、様々な用途に実用化されることが期待されています。例えば、その保水力と粘り気を活かし食品・化粧品・塗料・接着剤・医薬品の原材料として、その軽さと強度を活かし金属や炭素繊維に替わる繊維強化複合材料として、応用が可能だそうです。また、木材パルプという環境に優しい天然素材を原料としていることから、豊かな森林に囲まれながらそれを有効活用できていない我々日本人にとっては、更に期待の膨らむ話だと言えます。

研究開発や用途開発の中心になっているのは、紙と同じ木材パルプを原材料とするだけあって、日本の紙・パルプ産業を支えてきたトップ企業の皆さま。思い返せば、液晶用の機能性フィルムや航空機の炭素繊維などの素材も、元はと言えば1980年代以降、日本では “斜陽産業” と見なされていた化学繊維メーカー開発陣の不断の努力の賜物です。最近になって『CNF』のコストを大幅に改善する “ブレイクスルー” が有ったそうで、2000年代に入って以降 多くの印刷物がデジタルデータに置き換わり、構造不況に曝されてきた製紙業界が、今度は日本の歴史に新たな 1ページを書き加える番なのかも知れません。

 

しばらくコロナとどう生きる②

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。『~かも知れない』を繰り返して、恐怖心を煽るのが最近の常套手段。”科学” と称して 25%の可能性を4つ積み上げても、100%の真実に到ることはありません。25%×25%×25%×25%=0.39% が正解。「何故?何故?何故?」、製造業の世界では何故を5回繰り返せば、真実が見えて来ると考えます。玉石混淆の高度情報化社会、荒唐無稽な偽情報に惑わされないようにしたいものです。

さて、日米首脳会談では、水素の利用とカーボンリサイクルについても、意見が交わされるようですね。2020年米大統領選の勝敗を分けた一つが、接戦州ペンシルベニアでの勝利。全米有数の『シェールガス・オイル田』が広がるペンシルベニアで、支持者のシェール利権と『グリーンイノベーション』に折り合いを付けることは、”分断” に苦しむバイデン大統領にとって悲願でもあり、その “接着剤” と なり得るのが二酸化炭素の再資源化技術です。世界最大の産油国であるアメリカも水資源には乏しく、農業との水の争奪戦を避ける為には生産する水素の色は『グリーン』でなく『ブルー(又はターコイズ)』が望ましいですし、燃料やプラスチック素材の原料として回収したCO2を再利用する過程で産業が生まれ雇用も創出される訳ですから、アメリカにとっては文句無しの戦略といったところでしょう。

4月12日(月)から高齢者向けワクチンの優先接種が始まります。初回分の受付が電話やネット行われ、あっという間に予約で一杯になったようですね。日本を含め陽性確認の少ないアジア諸国に於いて、ワクチンに更なる感染抑止効果を期待できるかどうか、個人的には少々疑問に感じる部分がない訳ではないですが、世界がポストコロナに動き始めている今、高齢者の皆さんの不安感を拭い去り日常を取り戻すことが出来るならば、それは日本の国益にとっても大きな一歩と言えるかも知れません。

※一部、加筆修正しました。

 

しばらくコロナとどう生きる①

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。昨年の12月25日(金)から閉鎖されていた公共プールが営業再開、2ヶ月半に及ぶ自粛生活で衰えた体力を、少しずつでも取り戻そうと思います。私の泳ぐプールは違いますが、ごみ焼却場に併設される温水プールって多いですよね。廃プラごみ等の焼却熱を回収・再利用する この日本独特の『サーマルリサイクル』、 二酸化炭素を排出することから、最近は世間の風当たりが強くなって来ています。

CO2やウイルスのように、姿の見えない敵ほど恐ろしいものは有りません。『ナノプラスチック』も その候補の一つ。分解されることなく自然環境に放置されたプラスチックが、紫外線や海波の影響で細かくなった『マイクロプラスチック』、それが更にナノサイズまで微細化したものを『ナノプラスチック』と呼ぶようで、見えない微粒子は大気中をフワフワと浮遊します。所謂『環境ホルモン』、呼吸の際に取り込むと含まれる添加剤によっては、内分泌系への悪影響が心配されるという訳です。その意味では、自然界に存在する微生物によって分解される『生分解性プラスチック』は、不法投棄等のプラスチックごみ から海洋生物を守るだけでなく、 懸念される『ナノプラスチック』の健康被害を減らす効果も期待できるかも知れませんね。

但し、地球温暖化対策となると話は別で、(水と二酸化炭素に)分解されないまま自然界に長く残存するプラスチックの方が、環境に優しいという計算になる訳ですから皮肉なものです。自然界で一度 拡散したCO2を回収するのは困難。二酸化炭素の再資源化を前提に考えるならば、耐久性の高いプラスチックを開発、長く使って使用後に回収、定められた人工的な設備で焼却処分するのが正解です。一人の消費者として、使い捨てスプーン・フォークの有料化は受け入れますが、海洋汚染にしても『ナノプラスチック』にしても、問題の本質は ごみを平気でポイ捨てする “倫理観の欠如” の方にあると感じていて、『ナノプラスチック』という見えない脅威から身を守る為、使い捨ての不織布マスク(プラスチック素材製です)を着用する未来など、私には最早ブラックジョークにしか思えません。

※一部、加筆修正しました。