社長ブログ

時代遅れですがなにか?⑧

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。皆さんはマンガの神様 手塚治虫の、『鳥人体系』という作品をご存知でしょうか?「生態系を支配する知的生命体には飛翔する能力が必須で、鳥類こそが地球の頂点に立たなければならない」と考える宇宙の指導者・有識者が集う『賢人会議』が、人類の支配する誤った進化の方向性を『グレート・リセット』する お話です。宇宙からの贈り物で知性を手に入れた鳥と、私たちホモ・サピエンスの立場は次第に入れ替わって行きますが、鳥人たちに待ち受けていた未来とは?

大空の世界以上に我々人類が良く分かっていないのが、前々回も お話した深海に広がる神秘の世界。大気圧の下では気体か固体(ドライアイス)の状態で存在する二酸化炭素も、5.2気圧(約0.5MPa)の圧力が加わると初めて液体の姿を現します。海の中では10m深くなる毎に圧力が約 1気圧上昇、水深10,000mならば水の重み1,000気圧に大気の重み 1気圧をプラスして、凡そ1,001気圧(約101.4MPa)の圧力が物質に加わります。水深2,000mを超えると水温も 2℃前後で安定しており、高圧・低温の深海は二酸化炭素が液化するにはピッタリの条件です。

実際に化学合成細菌の生息する深海の熱水噴出域の近くには、液体二酸化炭素の貯留層の存在が確認されていて、私の理解が間違っていたら御免なさいですが、水深720mちょっとを超える海底なら、水温が30℃程度有っても二酸化炭素は気化しない計算です。ところが噴出孔から湧き出す熱水により、周囲の水温は60~464 ℃に達します。仮に31.1℃を超えるとブクブクブクと…

「ええじゃないか、ええじゃないか、ええじゃないか 、ええじゃないか!」栄一がパリに滞在していた1867年(慶応 3年)、15代将軍徳川慶喜が朝廷に政権を返上するに至り、人々は半ばヤケクソに そう連呼しながら街中を狂喜乱舞したそうです。風車を作れば風が止むのが気候変動。更には海底に眠る大量の温室効果ガスが、今や遅しとその瞬間を待ち侘びているとなると、二次元の世界を生きる人類に為す術なし。最早 踊り狂うしかありません(苦笑)。

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時代遅れですがなにか?⑦

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。北欧の某有名ブランドがリリースしたレポートによると、同社EVの製造過程(原材料の生産・精製、リチウムイオンバッテリー、車両の組み立て)でのCO2排出量は、同社製同等クラスのガソリン車の約 1.7倍。これは新車購入時に5万km走行済みのガソリン車が納入されるようなもので、日本人の平均的な使い方(年間走行距離 6,017km : ソニー損害保険㈱ 2020年10月調べ)なら 8.3年を要する二酸化炭素の量を、製造段階でまとめて排出してしまう計算になります。1.5℃を超えるか超えないか短期決戦の求められる中、8.3年分の前倒しが環境にどんな悪影響を及ぼすかも、私たちは充分 考慮に入れておく必要がありそうです。なお、詳細な数値データの表記がない部分は、レポートの棒グラフの長さを物差しで測定して計算に使用させて頂きました。

「改革を前に進めたい、結果を早く残したい。」若者たちの そんな気持ちは理解します。 埼玉出身で日本を代表する経済人『渋沢栄一』も、若かりし日は功を成し名を遂げるのを急ぐ余り『尊王攘夷運動』に参加。ひょんな切っ掛けから一橋家に出仕することとなり、慶喜が将軍職に就くと今度は幕臣として、『パリ万国博覧会』に参列する弟 昭武の お供を命ぜられるという、正に波乱万丈の半生を送ったそうです。ここで埼玉県民を代表して告白します。『渋沢翁』は郷土の誇る唯一の偉人でありますが、私も含め殆どの埼玉県民が大河ドラマや関連番組を見るまでは、彼の文明開化以降の経済人としての足跡以外、全く何も知らなかったと思います。大変 失礼を致しました(苦笑)。

一方で、埼玉県は未だに総理大臣を一人も輩出していません。優れた政治的リーダーを生む土壌ではないのでしょうか?野党共闘が世間一般で広く受け入れられなかったのは、私が「環境活動家とは行動を共にできない」と感じるのと同じだと思いますよ。『論語と算盤』と『マルクス主義』は別物なんです。

 

時代遅れですがなにか?⑥

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。太陽光の恩恵を受けられない深海の奥底には無数の『熱水噴出孔』が存在し、熱水に含まれる化学物質をエネルギー源とする化学合成細菌と、その細菌から食料を得る深海生物の独特の生態系が広がっています。化学合成細菌は海底に沈む鯨の死骸に含まれる脂質等からもエネルギーを合成、周囲に深海生物のコロニーを形成していて、こちらは『鯨骨生物群集』と呼ばれています。鯨の亡き骸は時折り日本の浜辺にも打ち上げられますが、腐敗が進むと体内にメタンガスを蓄積、膨張して最期には爆発しますので気を付けましょう。今日は鯨のお話。

江戸時代も末期になるとオランダ以外からも、多くの異国船が日本に押し寄せるようになりました。1853年 黒船来航の目的の一つは、極東に捕鯨船の補給基地を確保することだったとされています。当時 鯨油は照明用の燃料や機械用の潤滑油として重用され、大西洋の鯨を捕り尽くしたアメリカが新たな資源を求め、遥か西太平洋の果てまで進出して来たという訳です。1854年には日米和親条約、1858年には日米修好通商条約を締結し、力技で開国を押し切ったアメリカですが、その後の幕末動乱期はイギリス・フランスに主役を譲り存在感を失います。1861年に国内で『南北戦争』が勃発し、極東戦略どころでは なくなってしまったからです。

乱獲の限りを尽くしたアメリカも1940年になると一転、資源管理を理由に捕鯨を中止します。1948年にIWC(国際捕鯨委員会)を設立すると、1986年に商業捕鯨は実質的に禁止され、6000年の歴史ある捕鯨国として “科学的な” 調査捕鯨を継続した日本は、2019年のIWC脱退まで環境活動家の格好のターゲットにされました。捕鯨を巡る “環境原理主義者” との経験は、化石燃料の活用を訴えて見事に『化石賞』を連続受賞した、今日の私たちが置かれた状況と重なります。東南アジア各国の電源構成は80%が化石燃料由来。CO2の回収・貯蔵・再利用や水素・アンモニアを混焼する技術を高めるなど、火力発電のゼロエミッション化を目指し、日本は日本らしく国際貢献を続けて行けば良いのです。

 

時代遅れですがなにか?⑤

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。小笠原の海底火山から噴出した大量の軽石が遠く離れた沖縄に漂着、漁業や観光産業に被害が出ています。海流に運ばれた軽石は11月末には関東沿岸にも到達する見込みで、ただでさえ物流の滞りがちな中、私たちの生活にどんな影響が出てくるか心配です。今日は火山のお話。

富士山が最後に噴火したのが 1707年(宝永噴火)。浅間山が大噴火したのは、天候不順で凶作だった1782年の翌年の天明 2年のことです。浅間山噴火の際 発生した火砕流で、嬬恋などの近隣村落は壊滅。関東一円に降り積もった火山灰で田畑は荒廃し、流れ出た土砂により下流域では水害が発生。米不足を巡って江戸や大坂の街で打ちこわしが起こるなど食糧危機は 7年に及び、90万人が餓死したとも言われる近世日本最悪の大飢饉に発展しました。

火山が噴き出すのは軽石や火山灰だけではありません。約 2億100万年前には超大陸『パンゲア』の分裂により火山活動が活発化、この時 大量に放出されたのは火山性二酸化炭素です。大気中のCO2濃度は 2倍に上昇し、気温の上昇や海水の酸性化など地球環境は激変、海生種と陸生種の約76%が死滅してしまいました。そんな過酷な環境に最も適応したのが初期型の恐竜たちで、国連総会議場に登場したヴェロキラプトル殿は、何が自分たちの ご先祖さまの大繁栄を もたらしたのか、ご存じなかった様子(国連はCOP26を前に、人類に警告を発する恐竜の動画をTwitterに投稿)。

『WMO温室効果ガス年報 (抜粋)』によれば、CO2などの温室効果ガスの濃度が2020年に過去最高を更新。コロナ危機による経済活動の停滞にも拘わらず、大気中の温室効果ガスの増加幅に目立った減少はなく、その原因は『吸収源の大きな自然変動』であると、何ともまぁ お粗末な説明でお茶を濁す始末です。どうやら、人類とは別に発生源が存在する(例えば、海の奥底から人知れず噴き出している)可能性については、議論してはならないルールになっているようですね(苦笑)。

※誤りを修正しました。 【誤】 国連総会 →【正】 国連総会議場

※表現を一部変更しました。

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