社長ブログ

社長、歴史に学ぶ⑦

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。国立感染症研究所によれば、既存のコロナウイルスとしては、人から人へとうつって『風邪』の原因となるものが4種類と、動物から感染して重症の肺炎を引き起こす、SARS(重症急性呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)の2種類で、合計6種類が存在することが知られていました。そこに新たに登場したのが、武漢の海鮮市場から拡大したとされる新型コロナウィルスです。『中国製造2025』の中心地、武漢市の在る湖北省だけでなく、上海市、江蘇省、浙江省、広東省など、多くの日系企業が進出する製造業の集積地帯でも感染が拡大。工場の本格再稼働の目途が立たないところも多いようですから、アジアに広がるサプライチェーンの一翼を、微力ながら担当させて頂いている弊社に於いても、全くダメージを受けないとは言えないような状況になって来ました。

その新型コロナウィルス、遺伝子レベルでは、96% コウモリ由来のウイルスと一致するとのこと。ここで大いなる疑問が出て来ます。大昔、ホモサピエンスは洞窟で暮らしいたと考えられていて、それが証拠に、アルタミラやラスコーの洞窟には、我々の先祖が描いた美しい壁画が残されています。恐らくそこには、コロナウイルスの宿主であるコウモリも、数多く生息していたに違いありません。もし当時の人類にとって、コウモリ由来のコロナウイルスが脅威であったならば、彼らが洞窟を住処に選ぶことは、なかったのではないでしょうか。太古の人骨から採取したDNAを調べれば、そこにコロナウイルスと人類が共存してきた歴史、感染拡大を止める方法を、読み取ることが出来るかも知れません。もっとも、今回のウイルスが人為的に作り出されたものだとすれば、全く別の話ではありますが。

さて、2013年4月の朝礼の原稿で、「『白から黒』へ。あたかも、オセロゲームのボード上の石が、次々と塗り替えられていく様を見ているようだ」と表現していたのが、黒田日銀の異次元金融緩和政策。リーマンショック以降、2012年末には、ECB(ヨーロッパ中央銀行)とFRB(アメリカ連邦制度準備理事会)が、2008年初比で それぞれ、250%と300%まで資産規模を膨らませ、所謂『通貨安戦争』が勃発。金融引締めを志向する白川日銀の下、歴史的円高は止まるところを知りませんでした。『白から黒』へ。円高・円安、為替は業種によって利害が背反するので、ここでは触れないこととして、黒田日銀含め、海外の中央銀行の間でも、今尚、金融緩和政策の一つのお手本とされているのが、1927年の『(昭和)金融恐慌』を抑え込んだ、高橋是清の金融政策です。今回は、日本を金融危機から救った、『白から黒』ならぬ『白から赤』について、お話しさせて頂きます。共感頂けるようであれば、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

皆さんは、『弐佰圓札』ってご存知ですか?前回・前々回とお話しした通り、1920~30年代の日本は、恐慌、恐慌また恐慌で、大変な時代でした。1918年に第一次世界大戦が終了し、荒廃していたヨーロッパの産業が競争力を回復すると、特需に浮かれていた日本経済は一気に転落。更に追い打ちを掛けるように、1923年には関東大震災が発生し、日本経済は泥沼の恐慌から抜け出せなくなりました。1927年、銀行への取り付け騒ぎが起こるなど金融不安の高まる中、その経験と手腕を買われ、自身3度目の大蔵大臣に就任したのが、『ダルマ大臣』の愛称を持つ、高橋是清です。

彼が大蔵大臣としてやった政策は主に2つ、銀行に対し借入金の返済を猶予したことと、大量のお札を刷って世の中にばら撒いたこと。金融危機に人々が不安を募らせる中、「お金は充分に有りますよ、慌てて銀行に駆けつけなくても、何時でもお金を下ろすことが出来ますよ、心配しないで下さいね」と、そんな意味合いを込めて、高橋是清が大量に用意したのが『弐佰圓札』です。実は、当時発行された『弐佰圓札』には、2種類あって、一つ目は、4月25日に発行された『弐佰圓札』。表には彩りの美しい紋様が描かれたのに対し、裏面は、相当急を要したんでしょう、印刷が省略されて真っ白、通称『ウラシロ』と呼ばれています。さすがに偽札と疑われるということで、その15日後に発行されたのが、もう一つの『弐佰圓札』。表には大和朝廷時代の伝説の人物『武内宿禰』の姿、裏には赤い紋様が施され、通称『ウラアカ』と呼ばれています。『ウラアカ』については銀行に積まれたまま、結局、一般の預金者の手に渡ることはなかったそうです。SNSの『裏垢』とは関係ないですよ、念の為(苦笑)。

近年、『MMT(現代貨幣理論)』が話題になっています。ごく簡単に説明すると、「政府・中央銀行が通貨を発行すれば、国の赤字は返せるのだから、国はいくら借金しても潰れない」という理論。官のマイナスは民のプラス。借金を増やしてでも積極的に財政出動することが、持続的な経済発展に繋がるという考えを、後押しするものです。102兆円を超える新年度予算案、現在の日本の金融・財政政策が、無原則な『MMT』に基づいて行われているかどうかは分かりませんが、新型コロナウイルスの感染拡大で景気の下振れリスクの高まる中、政治家の皆さんには、国民の生活を守る為の有効な使い方を、しっかりと議論して頂きたいと思います。

※『てにをは』の誤りを修正しました。