こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。先代・先々代から どのように”襷”を繋いできたか、弊社の歴史について、2回に分けてお届けさせて頂いておりますが、今回はその第二回目。銀行系情報誌 2018年2月号からの引用で、必要な個所については、加筆修正をさせて頂いております。
・・・現社長の岩井崇氏が入社したのは、平成6(1994)年。入社後は経理や総務の仕事を14年間任された。「その頃は採用も担当していて、優秀な人を採用して一人前の技能工に育てることにやりがいを感じて全力投球しました。ただ、求人票を出しても採用に結びつかなかったので、”待ち”の採用ではなく地道な”攻め”の採用を仕掛けて、優秀な人材を獲得したのです」(岩井崇社長)
攻めの採用-それは、求人募集を出すだけでなく、自ら欲しい人材のいるところに足を運んで採用を勝ち取るというものだ。当時環境が整いつつあったインターネットを駆使して埼玉や地方の技術専門校、行田市のものつくり大学等の情報を集めて出向き、積極的に自社をアピールして人材を集めた。「機械加工にしても組み立てにしても、モノづくりが好きじゃなければ続かないし伸びないのです。ですから、専門の勉強をして、ある程度知識のある人材を採用しています」(岩井崇社長)
そうして採用した新人を、OJTによる指導を中心に外部研修も活用し技術を習得させ、さまざまな資格も取らせながら、3~5年で一人前に育てるのだという。現在の社員の平均年齢は44歳(2017年の取材当時)、23歳の若手社員も生き生きと現場で働いている。
平成5(1993)年、同社は伊奈町小針新宿(現在の表記は伊奈町西小針)のミニ工業団地内に新工場を開設し、それまで伊奈に二つあった工場の生産設備や物流拠点を1カ所に集約した。石油危機を乗り越えバブル以降も、右肩上がりで急成長していた同社が、これから生産をさらに強化しようと考えていた矢先、日本の経済を押し上げていたバブルがはじけた。「その頃は売り上げが相当落ちて大変でした。けれど、利益は確保できていたので、事業縮小のために現役世代の人員整理をすることは一切しませんでした」(岩井崇社長)
バブル崩壊後、特注品の需要は大幅に減った。競合他社は、その少ない需要を赤字覚悟の価格で手に入れようとしてきた。そこで同社は、価格競争になりがちな採算性の悪い特注品の受注を積極的に取りにいくのを止め、売り上げが少なくても利益をしっかりと確保できる製品の比率を増やす決断をした。実際、会社を運営するに充分な需要を確保することに成功した。その後、競合他社が財務状況を悪化させていく中、同社は決断が功を奏して、「財務内容が大きく傷つくことはなかった」(岩井崇社長) という。
そしてさらにもう一つ、バブル崩壊後低迷する同社の成長を救ったものがあった。それは、高機能フィルムや炭素繊維という新たな素材産業の台頭であった。パソコンやテレビ等の液晶画面に用いられる偏光フィルムやリチウムイオンバッテリーに用いられるセパレーターフィルム等の高機能フィルム。航空機の主翼・胴体やスポーツ用品にも使用される軽量・高強度の炭素繊維。その多くは当時、斜陽化したといわれてきた化学繊維企業が、それまでに培った生産技術と既存の製造装置を活かして新たに研究・開発して生み出した素材だ。同社は繊維産業が活気のあった時代から、製造装置用部品のロータリージョイントやスイベルジョイントの提供を長らく続けていた。そこで、化学繊維企業の顧客から高機能フィルムや炭素繊維の製造に向けた圧力回転継手の依頼が入るようになった。「お客さまの景気の良し悪しに関係なく、常にお客さま第一で製品をつくり続けてきた。だから当社に声がかかったのだと思います。フィルムやシート、繊維状の製品に付加価値を与える量産ライン(ロール・ツー・ロール方式)に於いて、弊社のジョイントは今や欠かせないアイテムとなっています」(岩井崇社長)
その後、再び同社はオーダーメイド品のウエイトを増やし、高機能フィルム等の新素材産業の成長と並走するように再び成長をドライブさせていく。現在の産業別売り上げ構成を見ると、フィルム・ゴム・プラスチック産業は、鉄鋼・非鉄金属に並ぶ売り上げを占め、稼ぎ頭へと大きく成長している。
液晶ディスプレイがタッチパネル付きへと高度化したように、製品の高度化に伴って製造装置の部品にも高い性能が求められている。例えば、従来よりさらに高温化する熱媒体に対応できる部品開発や、製造現場のクリーン化に対応する高精度な製品づくりなどなど。同社は次々と生まれる革新的技術や新素材に対して、対応すべく体制を整えなければならない。「新規性のある製品製造に関しては、基礎データを蓄積しなければいけないので、当社独自の摩擦摩耗試験機を開発、開発実験棟には専任の人員を配置しデータを取って開発実験を続けています」(岩井崇社長)
岩井社長曰く、ロータリージョイントやスイベルジョイントは、成長性は乏しいながらも非常に安定した市場だという。競合他社との厳しい競争に勝ち残った同社はその市場に安住することなく、今後も自社の技術開発やノウハウのシナジーが生きる分野を模索し続けていく。
“お客様にご安心頂けるサービス体制をお約束致します”-これは、岩井社長が平成20(2008)年社長に就任した時につくった経営理念の一つだ。迷った時は常にこの経営理念に立ち返るのだという。この理念を胸に、今後も顧客第一で地道に真摯にサービスを展開していく同社。それが成長エンジンとなって、新たなフィールドを切り開いていくに違いない・・・
と、インタビュー内容を、美しい文章に編集して頂きました。私自身も以前、関連記事をブログに載せていますので、お時間の許す方は、是非。
【関連記事】↓
大宮っ子の年末年始③~④ https://www.sgk-p.co.jp/blog/date/2019/01/
ラッキーな社長①~③ https://www.sgk-p.co.jp/blog/date/2019/02/
ラッキーな社長④~⑥ https://www.sgk-p.co.jp/blog/date/2019/03/
※関連記事を追加しました。
※関連記事のリンクを張りました。
※誤りを訂正しました。 【誤】偏向フィルム→【正】偏光フィルム
