社長ブログ

社長、プールで泳ぐ⑦

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。今や日本は人材難。深刻な人手不足が叫ばれる中、海外から日本にいらした皆さんが、色々な場所で活躍する姿を拝見します。今、コンビニでアルバイトすることが、留学生の中では一種のステイタスなんだとか。確かに、現在のコンビニで提供している幅広い商品・サービスを、母国語ではない日本語で、的確に素早く提供する接客能力には、頭が下がります。バックヤードでは検品作業に入出庫、もし、売れ筋管理や廃棄ロスまで考慮する必要のある、発注業務まで任されたら、そこには小売店舗の経営ノウハウ満載。日本人でも全てを習得するには、随分と時間が掛かるでしょうから、彼らがそんな職場で働くチャンスを手に入れたら、それを誇りに思うのも分かります。

世の中には、純粋な単純作業などと言うものは、存在しない気がします。単純に見えて、そこには多くのノウハウが隠れていて、経験からより多くを学ぶ人が、真の一流になれるんではないでしょうか。今回のエピソードは、2014年5月の朝礼で取り上げた『1万時間の法則』について。ある分野で一流と呼ばれる人たちは、センスや才能の有無は別として、その域に到達するまでに凡人を遥かに凌ぐ時間を練習に費やしており、その目安が1万時間だと言うもの。大事なのは『量』ではなく『質』であるとの考えが主流となって来た今、これには賛否両論あるかも知れません。もし、説得力有りと感じて頂けたら、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

日米通算4257安打の偉業を達成し、この春、惜しまれながらも現役を引退した球界のレジェンド、イチロー選手が、小学校3年生からの7年間、バッティングセンターに通い詰めたというのは、有名なお話。イチロー選手のみならず、超一流は人一倍努力を積み重ねてきたという逸話は、よく耳にします。モノづくりのグローバル化が進む中、私が英会話のトレーニングを開始して、9年余りが経ちました。自分の得意分野の話題なら、自分でも外国語を使っていることを全く意識しないくらい、ペラペラとお喋りをしていることもありますが、自分の頭が、所謂『英語脳』に切り替わらなことも時々あって、そんな時は、自分の無力さに 本当にがっかりさせられます。実務で英語を使う機会の殆どない私に、『1万時間の法則』を当てはめてみると、1日2時間・1年365日、英語に接する時間を割いて、一流の技術や知識の習得には、13年8ヶ月掛かるという計算。妙に納得させられる数字がはじき出され、日本人として “平均的な” 大きさの海馬を持つ凡人としては、『量』に於いても『質』に於いても、もっともっと努力しなければならんと、再確認した次第です(苦笑)。

設計製作と多種少量生産に強みを持つ、弊社の製造現場。作業標準書やマニュアルの整備を進めましたが、幾つかの分野には、習得に時間の掛かる『熟練技術』が残っています。『石の上にも三年』、1日8時間・年間250日働いた場合、1万時間の経験を積むには、5年掛かるという計算になります。長いと感じるか、短いと感じるかはその人次第。必ずしも自ら進んでやりたいような、内容の仕事ばかりではないかも知れません。間違うかも知れない、ミスをするかも知れません。しかし、それも一つの経験。人間、失敗から学ぶことも、たくさんあると思うんです。「今後10~20年で、多くの仕事が人工知能に置き換えられる」と言われて久しいですが、今もなお、世界に繋がる日本のサプライチェーンは、私たちのような凡人の、小さな努力の積み重ねによって、支えられているんですよ。

※誤りを訂正しました。【誤】開始して、10年余り→【正】開始して、9年余り