社長ブログ

社長、水素で走る⑤

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。熱狂の44日間が、もう直ぐ 終わろうとしています。今大会で、タックルを受けながらもボールを繋ぐ、『オフロードパス』という言葉が話題となったように、ラグビーは『自己犠牲』のスポーツ。就活売り手市場を謳歌する今の若者たちの心には、どのように映ったのでしょうか?ちなみに弊社の場合はと言うと、「私たちは、チームとして闘う気持ちと、共に闘う仲間を信じる心を忘れません。(経営理念より)」と、チームプレーを大切にする、まさに『昭和スタイル』。今回は、2010年7月の朝礼で紹介したエピソードを参考に、お話しさせて頂きます。もし、共感頂けるようであれば、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

奇跡の生還から9年、小惑星『りゅうぐう』でのミッションを終えた宇宙探査機『はやぶさ2』が、地球に戻る準備を始めるそうです。プロジェクトメンバーが一致団結、多くの困難を乗り越えて、一号機がサンプル・リターンに成功したのが、2010年6月のこと。役割を終えた『はやぶさ』自身は、大気圏突入の際、閃光を放ちながら儚く燃え尽きてしまいました。そんな『はやぶさ』の感動ストーリーに、私が思い出したのは、1974年から日本テレビ系列で放映されたテレビアニメ・シリーズ、『宇宙戦艦ヤマト』です。2010年に実写版、2017年には新シリーズが劇場公開、そして、つい先日には、『宇宙戦艦ヤマト 2205 ~新たなる旅立ち』の制作発表も有りましたから、世代を越えて、若い皆さんも御存知かも知れません。

東京五輪から10年。1974年というと、オイルショックによる狂乱物価。-1.2%というマイナス成長を、日本が戦後初めて経験し、高度経済成長が終焉を迎えたと言われる年。弊社で言えば、自動車・工作機械の部品加工から完全撤退し、営業品目をロータリージョイント・スイベルジョイントに絞った、ちょうどその頃の話です。ちょっとだけストーリーを説明しますと、西暦2199年、異星人の国、ガミラス帝国の攻撃により地球は荒廃し、人類は滅亡まであと1年。人類を救うべく、『コスモクリーナーD』という環境浄化装置を受け取りに、『宇宙戦艦ヤマト』は、宇宙の彼方イスカンダル星まで、往復29万6千光年の旅に出ます。ちなみに、1光年は9兆4,607億3,047万2,580kmですから、地球とイスカンダル星の往復は 280京0,376兆2,198億8,368万km、『はやぶさ』の7年間の総飛行距離 凡そ 60億kmの、4億6,672万9,370倍という計算になります。

『宇宙戦艦ヤマト』の長旅を支え続けたのが、宇宙エネルギーを圧縮し、超光速タキオン粒子に変換して動力とする、『波動エンジン』という夢の動力装置。航行距離は無限、ワープ航法まで実現しちゃいます。一方、長い距離を少ない燃料で飛べる省エネ型エンジンとして、世界から注目を浴びたのが、『はやぶさ』の『イオンエンジン』。電子レンジでおなじみのマイクロ波を利用して、キセノンという物質にプラスの電気を帯びさせ、高速噴射、推進力を得るんだそうです。何と言っても効率が良く、地上では1円玉を持ち上げる程度の力しかありませんが、空気抵抗がない宇宙空間で加速するには必要充分。前回の帰還で、のべ4万時間の稼働と耐久性を実証しました。今回、『はやぶさ2』に搭載された『イオンエンジン』には様々な修正が施されて、出力(正確には『推力』)が約25%アップ。1円と25銭分を持ち上げることが、出来るようになったという訳です(笑)。

『はやぶさ』の帰還が人々の心を打ったのは、そこに泥臭い人間模様が有ったから。そして、『遣り甲斐』だけが虚しく搾取された当時に於いても、私たちの心の何処かに、『自己犠牲』を肯定的に捉える感性が、少なからず残っていたからかも知れません。では、動力性能の他、制御用推進装置や通信機器にも様々な改良が加えられた、『はやぶさ2』は どうかと言うと、2020年末頃、岩石サンプルの入ったカプセルを地球に届ける予定。但し今回は、本体が大気圏内に突入することはなく、新たなミッションに向けて再び宇宙に旅立ちます。つまり、令和の空気に合わせたかのように、『はやぶさ2』は燃え尽きないんですね。確かに、自分だけが犠牲になる必要なんて有りません(笑)。

※一部、表現を変更しました。