社長ブログ

社長、水素で走る⑦

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。環境に配慮した生活スタイルを取り入れることを、英語で、『Go Green (緑になる)』って言います。面白いでしょ?ところが、そんな『グリーン』な生き方を先取りしたEVオーナーの多くが、他の人に対しては、EVに乗ることを薦めないんだそうです。何故かと言うと、充電スタンドに、これ以上の行列が出来るのは困るから(苦笑)。その気持ち分かりますよ。私の場合は、水素ステーションのない群馬・栃木には、怖くて車では近付けませんし。環境に優しく生きるには、社会インフラの充実って不可欠です。今回は、2009年12月の納会で取り上げたエピソード。もし、共感頂けるようであれば、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

2009年9月、鳩山政権が『政治主導』の名の下に、「二酸化炭素の排出量を、1990年比で25%削減する」と宣言し、産業界の非難を浴びました。そんな頃、東大発の某ベンチャー企業が、ある単細胞生物を使って開発した健康食品で、世間の注目を集めていました。鞭毛という器官を使って動物のように動き回り、植物のように葉緑体を持っていて光合成も行う、その名も『ミドリムシ』。光合成の過程で二酸化炭素を吸収する点に着目し、同年、火力発電所の排出ガスを利用した『ミドリムシ』の培養に成功。それから10年、2019年には大手商社の協力を得て、『ミドリムシ』を原材料とするバイオ燃料や家畜の飼料の商用化へ向け、第一歩を踏み出しました。舞台はインドネシアの火力発電所。『化石燃料』由来の二酸化炭素から『グリーン』エネルギーを作り出し、更に『グリーン』な餌で家畜まで育ててしまおうとは、思考回路の凝り固まった気象学者の皆さんには、思いも寄らない発想でしょう。

畜産・酪農も、大量の温室効果ガスを排出し、環境負荷が高いと批判を浴びる産業の代表例です。そこで飼育される動物たちの落とし物も決して無駄にしないのが、日本の某大手自動車メーカー。家畜の排泄物や、汚泥等の廃棄物系バイオマスから水素を取り出し、その水素を元に燃料電池を使って発電を行う計画です。2020年の稼働開始を予定。発電量は一般家庭およそ2,350世帯分。併設の水素ステーションを通じて、水素をそのままFCVに供給することも可能ですし、スタンドを作ればEVの充電にも対応。自動車の多様な有り方を見据えたこの『燃料電池発電所』は、米国のカリフォルニア州に建設中です。北海道辺りにはピッタリ。北関東にも是非作ってください。美味しい和牛も食べたいし!!こうして環境・省エネ技術の進化を見て行くと、10年前に鳩山さんのぶち上げた無謀な国際公約も、世界に向けた営業トークに聞こえてきますから、なんとも不思議なものです(苦笑)。

さて、荒野に広がる無数のソーラーパネルや集光ミラーは、今や環境に優しい『グリーン』エネルギーの象徴的存在。10年前に注目を集めていたのは、『太陽熱発電』の方。太陽光を鏡で集め、その熱で水を沸騰させ、水蒸気でタービンを回して発電する仕組みは、直射日光の降り注ぐ、砂漠地帯にはピッタリ。当時は『太陽熱発電』の方が、発電効率が良かったようです。この10年間で『太陽光発電』の性能も大幅に向上、変換効率40%を目指す製品まで現れました。では、これで満足して良いかというと、そういう訳にも行きません。温暖化のみならず、人口爆発・食糧難と、地球の未来は問題山積。本来優先すべきは何だったのか?それは砂漠緑化の試みであり、そこに豊かな穀倉地帯を作ること。可能性の残された広大な土地が、不毛なまま、人工的なソーラーパネルや集光ミラーに埋め尽くされて行く姿は、本末転倒、何だか『グリーン』とは程遠い存在にも思えてきます。

最後に、以前ご紹介した科学者として未来を切り開くのに必要な6つの力、皆さんは覚えていらっしゃいますか? ①質問力、②観察力、③ネットワーキング力、④実験力、⑤関連付ける力、⑥『勇気』の 6つです。科学の力を信じると言うのなら、「大切な地球を守る方法は、一つしかない」と、先入観で決めつけちゃ駄目なんです。例えば、遠い未来まで見据えた、人類の採るべき有力な選択肢の一つとして、遺伝子編集技術を駆使、人体にも葉緑体を取り込んで、光合成で自給自足なんてどうでしょう?正真正銘の『Go Green(緑になる)』です(笑)。『昆虫食』よりは、多くの賛同が得られるのではないかと、個人的には考えていますけどね。

※誤字・脱字が有りましので、修正しました。一部、表現を変更しました。