社長ブログ

社長、五輪に思いを馳せる⑥

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。愛犬家の皆さんは よくご存知の『フィラリア(寄生虫の一種)』のお薬が、新型コロナウイルスの治療に期待できそうだというのですから驚きです。子供の頃、お尻の穴に貼ったフィルムを学校に提出した、所謂『蟯虫検査』を皆さんも鮮明にご記憶のように、寄生虫による感染症は人類も長年 悩まされてきた病気です。近年の日本では、生魚から感染する『アニサキス』が問題となりました。アジア・アフリカの熱帯地域に於いては、寄生虫症は今なお深刻な問題で、その特効薬がノーベル医学賞・生理学賞の大村智先生が開発した『イベルメクチン』という訳です。副作用が少なく量産体制の整えやすい この薬が、家庭の常備薬として早期承認を受けることを期待したいところです。一方、寄生虫に感染する機会の減った日本では花粉症等のアレルギー症状に苦しむ人が増えていて、寄生虫に抗う為に発達した自然免疫が敵を失い、スギ花粉等に過剰反応した結果なのだそうです。

さて、スペインの征服により16世紀に滅びたアステカ文明、近年はスペインから持ち込まれた感染症(天然痘・サルモネラ菌等)が滅亡の主な原因だったのではないかと考えられていて、免疫を持たない先住民の人口は、100年足らずのうちに10分の1以下に激減してしまったのだそうです。その標高2,200mを超えるアステカの地で、1968年10月、ホスト国メキシコを下し銅メダルを獲得したのが、サッカー日本代表。エースストライカーの釜本邦茂は、6試合で7得点を決め得点王となりました。その後は2012年のロンドン大会の4位が最高で、長年メダルには手が届いていない日本。今回はサッカーW杯ブラジル大会の最中、2014年7月の朝礼で取り上げたエピソードから お伝えします。共感頂けるようであれば、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

本田、香川、長友ら、ヨーロッパの名門クラブで活躍するタレントを揃え、直前に行われた親善試合にも2連勝。初のベスト8入りも期待されながら、初戦コートジボアールに敗れ第二戦もギリシアと引き分け、後がなくなったザック・ジャパン。強豪コロンビアとの大一番を前に、ザッケローニ監督と日本サッカー協会との間で話し合いが持たれ、『パワープレー』が封印されました。前線の長身の選手の頭に合わせてロングボールを放り込み、ヘディング又はそのこぼれ球でゴールを狙うというシンプルな戦術を禁止し、コロンビア戦では結果を恐れず、素早いパス回しで相手守備陣を崩す、本来の日本サッカーを貫こうと言う訳です。結果は 1-4 の惨敗。勝ち点1で一次リーグC組最下位という、残念な結果に終わりました。

4年後のロシア大会ではコロンビアに 2-1 で雪辱し、ポーランド戦での時間稼ぎには賛否両論ありましたが、見事に決勝トーナメント進出。強豪ベルギーを相手に選手たちは日本のプレースタイルを貫き、世界の称賛を集めました。ザッケローニは、何故『パワープレー』に頼らなければならなかったのか?ブラジル大会、南米勢、出場6ヶ国中5つのチームが決勝ラウンドに勝ち残りました。中米の2チームを含めると、16チーム中、実に半数近い7チームがブラジル周辺の中南米で、これはもう地の利を生かしたとしか考えようが有りません。ブラジルと言えば、アマゾン川と熱帯雨林。体格の差を、早いパス回しと運動量で補う日本のサッカースタイルは、どう考えても南米の高温・多湿の気候に不向きです。ブラジル大会以前に行われた4回の南米遠征で、日本代表は実に19戦16敗3分と、データを見ても苦手なのは明らか。敗戦の将は多くを語らず日本を去って行きましたが、過酷な環境の下、一つの戦術に拘っていては結果を残すことは出来ないと気付いていたのは、ザッケローニ監督だけではなかった筈です。代表メンバーに南米のクラブチーム所属の選手、つまり、現地の気候に慣れた “専門家” が、一人もいなかったことが悔やまれます。2021年 炎天下の東京五輪、U-23日本代表は如何に勝ち点を積み上げていくのでしょう。是非、ブラジルの反省を活かして貰いたいものです。

緊急事態が延長されました。行政の長から「専門家の提言を頂きながら…」と聞くと、1980年代の薬害エイズ事件を思い出さない訳にはいきません。HIV感染の原因となった非加熱製剤の、承認に関する『エイズ研究班(≒専門家会議)』の答申が適切だったかどうか、法廷で裁かれたことは有りません。政府の意思決定に於いて、専門家の言葉に どれだけ重みが有ろうとも、彼らが責任を問われることはないのです。ご存知の通り、「『8割』という数字の独り歩きを許した科学が、今度は経済を殺そうとしている」という議論が有ります。この副作用の強い劇薬は、科学自体の未来すら奪ってしまいかねません。優秀な専門家の皆さんには、スタンドプレーに走らず黒子に徹して頂き、あとは政治判断に委ねてもらいたいというのが、私の偽らざる気持ちです。