社長ブログ

東京オリ・パラ始まる⑤

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。「協力しない業者との取引停止や、金融機関からの “働きかけ”」という権力の横暴は、酒の提供に限った話ではありません。欧州委員会は2035年以降の、エンジン搭載車販売の実質禁止を発表。脱炭素のルールに逆らえば、仕事を失うだけでなく投資家からも そっぽを向かれるという、強権支配の時代に世界は突入しています。主に加熱・冷却に使用される弊社製品のお客さまの多くが、CO2の大口排出事業者。カーボンニュートラルは私たちにとっても決して他人事ではありません。そんな中 2030年の二酸化炭素46%削減実現に向け、資源エネルギー庁が『エネルギー基本計画(素案)』を公表しているので、私なりの注目ポイントに触れておきたいと思います。

先ず暫定値と前置きしながらも、省エネを徹底してエネルギーの総需要を2013年度比で23%削減。産業部門で使うエネルギーに関しては、電力比率を25%から30%に引き上げ熱・燃料等は75%から70%に下げることで、産業部門由来のCO2排出量を2013年度の4.63億トンから、2030年度には2.9億トンに減らすとしています。2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題としては、モノづくりに於いて電気では置き換えられない技術(高温の熱需要等)が有ることを認識、製造プロセスの大規模転換、大型水素ボイラーの技術開発などの必要性を訴えています。

産業部門のみならず全ての部門で、省エネを進めていくのは大いに結構。その上で、熱・燃料等が産業部門のエネルギー需要に占める割合は若干下がるものの、2030年の段階では2013年度比 93.3%が維持される計算ですから、取り敢えずの “飯の種” を心配することなく、2050年のカーボンニュートラルに向けた次世代技術の開発に注力するチャンスが与えられたと、割り切った方が よっぽど前向きかも知れません。

『エネルギー基本計画(素案)』の大きな問題は、国民のコスト負担が どれ位になるか言及がない点。「更に50%の高みを目指して挑戦を続ける~」は、東京オリンピックでの選手の活躍を見越した選挙対策っぽくて “あざとい” 表現ですね(苦笑)。石油・天然ガスやメタンハイドレート等の国産資源の開発に取り組みながら、アジアの “現実的な” エネルギー転換に積極的に関与するとしたところは、脱化石燃料 一本槍の欧州勢とは一線を画す動きで、なかなか面白いと思います。 ゲームを有利に進めるのに、ルール作りから主導権を握らなければ駄目なのは、スポーツもエネルギー政策も同じです。

※一部の表現を改めました。