社長ブログ

時代遅れですがなにか?⑥

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。太陽光の恩恵を受けられない深海の奥底には無数の『熱水噴出孔』が存在し、熱水に含まれる化学物質をエネルギー源とする化学合成細菌と、その細菌から食料を得る深海生物の独特の生態系が広がっています。化学合成細菌は海底に沈む鯨の死骸に含まれる脂質等からもエネルギーを合成、周囲に深海生物のコロニーを形成していて、こちらは『鯨骨生物群集』と呼ばれています。鯨の亡き骸は時折り日本の浜辺にも打ち上げられますが、腐敗が進むと体内にメタンガスを蓄積、膨張して最期には爆発しますので気を付けましょう。今日は鯨のお話。

江戸時代も末期になるとオランダ以外からも、多くの異国船が日本に押し寄せるようになりました。1853年 黒船来航の目的の一つは、極東に捕鯨船の補給基地を確保することだったとされています。当時 鯨油は照明用の燃料や機械用の潤滑油として重用され、大西洋の鯨を捕り尽くしたアメリカが新たな資源を求め、遥か西太平洋の果てまで進出して来たという訳です。1854年には日米和親条約、1858年には日米修好通商条約を締結し、力技で開国を押し切ったアメリカですが、その後の幕末動乱期はイギリス・フランスに主役を譲り存在感を失います。1861年に国内で『南北戦争』が勃発し、極東戦略どころでは なくなってしまったからです。

乱獲の限りを尽くしたアメリカも1940年になると一転、資源管理を理由に捕鯨を中止します。1948年にIWC(国際捕鯨委員会)を設立すると、1986年に商業捕鯨は実質的に禁止され、6000年の歴史ある捕鯨国として “科学的な” 調査捕鯨を継続した日本は、2019年のIWC脱退まで環境活動家の格好のターゲットにされました。捕鯨を巡る “環境原理主義者” との経験は、化石燃料の活用を訴えて見事に『化石賞』を連続受賞した、今日の私たちが置かれた状況と重なります。東南アジア各国の電源構成は80%が化石燃料由来。CO2の回収・貯蔵・再利用や水素・アンモニアを混焼する技術を高めるなど、火力発電のゼロエミッション化を目指し、日本は日本らしく国際貢献を続けて行けば良いのです。