社長ブログ

東京オリ・パラ始まる⑧

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。1000年に一度とも言われる大雨災害に見舞われた中国でも、デルタ株による感染再拡大の懸念が高まっているそうです。中国では伝統的に、人徳を失った為政者には『天命』による災禍が下り、力によって追放されるのは当然と考えます。現代日本を生きる我々からすると、”民意” と “天災” の因果関係が逆のようにも感じられますが、このような考え方を『易姓革命』論と言います。

さて、インドに始まった そのデルタ株、南~東南アジアを あっと言う間に飲み込んで、5月中旬には感染対策の優等生 台湾にも伝播。日本人の約60%が持つHLA-A24のもたらす細胞性免疫を掻い潜るとの報告も有り、デルタ株が日本で蔓延するのは時間の問題と考えた私は、6月28日(月)に市役所のホームページで、大規模会場用の接種券を手配しました。遅れがちな自治体のワクチン接種の順番待ちをするのではなく、自ら行動を起こすべきとの結論に至ったという訳ですね。

とは言え、30分以上予約サイトに張り付いて実際にワクチンを確保できたのは、3度目の挑戦となった 8月2日(月)。その頃 既に東京では連日4,000名を超える陽性確認を記録して、だったらリスクを冒して わざわざ大手町のワクチン会場に行くよりも、何とか第5波を やり過ごしながら、改めて地元で予約を取り直した方が無難かも知れないとの思いも過りましたが、それでも結局 私に打ちに行くと決めさせたのは、科学技術に対する私の強い知的好奇心だったんだと思います。「発熱等の副反応は強く出るものの、デルタ株に対する発症予防効果・重症化予防効果そして感染予防効果に於いても、どうやらモデルナ製ワクチンがファイザー製を上回るらしい。だったらモデルナを試してみたい」と。

当初はワクチン懐疑派だった私も、この1年半で多くを学びました。緊急事態宣言の対象地域拡大が検討される中、パラリンピックが始まります。

※グラフに誤りが有りましたので、修正しました。

 

東京オリ・パラ始まる⑦

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。閉会式の行われた8月8日(日)、大手町の大規模接種センターに行って参りました。上野東京ラインに乗って電車で 1本、東京駅からは無料の送迎バスが便利です。愛知県豊田市や福岡県宗像市の接種会場では、『トヨタ生産方式』を取り入れて『ムリ・ムダ・ムラ』を徹底排除しているとの評判で、東京の大規模会場はどうなのか、製造業に身を置く私としては興味津々でした。結論から申し上げると、動線がしっかりと整理されていて、素晴らしいオペレーションだったと思います。

入場してすぐに予診票未記入の人が別口に弾かれた後(記入後に合流)、手渡されたファイルの色別に暫くは数名単位のグループ行動。途中 何ヶ所か人数分の椅子が配置されていましたが、私達のグループは殆ど着座する間もなく、スムーズに接種会場行きのエレベーターに到着しました。15階建ての合同庁舎の構造上、恐らく このエレベーターが『ボトルネック工程』なのでしょう、密室での感染予防の為 “壁に向かって” 立って乗れるMAXの人数が、グループの構成ロットであることが分かりました。

エレベーターを降りると その後は案内係の指示の下、一人一人が問診・接種・次回の予約の順番で、空いているブースへと誘導されます。タクトタイムが約40秒と言われるワクチン接種、こちらも上手く同期が取れている所為か 流れが滞留することは無く、 ブースの前に並べられた椅子でも待たされることは有りません。次回の接種日程を打ち合わせしている間にも時計が進んで、経過観察の所要時間15分間のうち、実際に待機させられたのは 6分程度のことでした。バックヤードの様子(物・情報の流れ)を、覗くことが出来ないのは仕方がありません。

予想より早く打ち終わったので、帰りは東京駅まで歩きました。令和になってから碌なことが有りません。昔ならば『改元』でリセットするところでしょうが、今は法的に難しいので一層のこと、京都に『遷都』でもしてみてはどうかと思います。首都機能まるごと移転となると大変なので、飽くまでも天皇御一家の一時的なお引越し。その間に皇居内に天守閣の再建でもすれば、ポスト・コロナに於ける東京観光の目玉になること間違いなしです。

※誤りを修正しました。【誤】東京上野ライン →【正】上野東京ライン

 

東京オリ・パラ始まる⑥

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。オリンピックの陰に隠れてしまいましたが、『北海道・北東北の縄文遺跡群』が世界遺産に登録されました。今よりも温暖な気候と豊かな海の幸・山の幸に恵まれて、世界の四大文明に先んじて大規模集落での定住生活を始めたとも言われる縄文の人々。以前は弥生時代に半島から伝わったとされた稲作も、岡山や熊本の遺跡から縄文前~中期には始まっていた可能性を示す痕跡が見つかって、日本人と お米の結びつきには非常に長い歴史が有ることが分かります。

水田は日本の原風景。稲藁・籾殻・米糠と、古来 日本人は米の栽培から得られる実りを、余さず活用してきました。稲藁は肥料や飼料、茅葺屋根の下地材、草鞋や蓑等の衣料品、或いはお正月の飾り付け等、様々な用途に使われて来ましたし、籾殻も畑に撒いて保温対策、土に混ぜ込んで土壌改良にも使われています。米の糠を使って漬け物を作るようになったのは、江戸時代初期と比較的 最近の事。糠漬けは日本固有の発酵食品で、植物性の乳酸菌には腸内フローラを整える強い効果が有ります。そう言えば、発酵食品の代表格の納豆も、稲藁が無ければ作れませんね。山梨の遺跡からは、縄文人が大豆を食べていた可能性を示す土器も見つかっています。

さて、今や放射性廃棄物並みの “厄介者” として扱われるようになった二酸化炭素、そんな究極の産業廃棄物を有用な『連産品』に、しかも過剰なエネルギーを費やさずに生まれ変わらせる方法(常圧のCO2からプラスチックの一種の原材料を合成)を大発見しちゃったのが、日本の製鉄大手率いる産学共同研究グループ。”圧” を加えないと駄目な、何処ぞやの大臣とは訳が違います(笑)。金メダルです!!稲藁に籾殻、米糠をも捨てず そこから健康食品を作り出す精神は、今も我々の中に生き続けているのです。

※誤字・脱字を修正しました。

 

東京オリ・パラ始まる⑤

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。「協力しない業者との取引停止や、金融機関からの “働きかけ”」という権力の横暴は、酒の提供に限った話ではありません。欧州委員会は2035年以降の、エンジン搭載車販売の実質禁止を発表。脱炭素のルールに逆らえば、仕事を失うだけでなく投資家からも そっぽを向かれるという、強権支配の時代に世界は突入しています。主に加熱・冷却に使用される弊社製品のお客さまの多くが、CO2の大口排出事業者。カーボンニュートラルは私たちにとっても決して他人事ではありません。そんな中 2030年の二酸化炭素46%削減実現に向け、資源エネルギー庁が『エネルギー基本計画(素案)』を公表しているので、私なりの注目ポイントに触れておきたいと思います。

先ず暫定値と前置きしながらも、省エネを徹底してエネルギーの総需要を2013年度比で23%削減。産業部門で使うエネルギーに関しては、電力比率を25%から30%に引き上げ熱・燃料等は75%から70%に下げることで、産業部門由来のCO2排出量を2013年度の4.63億トンから、2030年度には2.9億トンに減らすとしています。2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題としては、モノづくりに於いて電気では置き換えられない技術(高温の熱需要等)が有ることを認識、製造プロセスの大規模転換、大型水素ボイラーの技術開発などの必要性を訴えています。

産業部門のみならず全ての部門で、省エネを進めていくのは大いに結構。その上で、熱・燃料等が産業部門のエネルギー需要に占める割合は若干下がるものの、2030年の段階では2013年度比 93.3%が維持される計算ですから、取り敢えずの “飯の種” を心配することなく、2050年のカーボンニュートラルに向けた次世代技術の開発に注力するチャンスが与えられたと、割り切った方が よっぽど前向きかも知れません。

『エネルギー基本計画(素案)』の大きな問題は、国民のコスト負担が どれ位になるか言及がない点。「更に50%の高みを目指して挑戦を続ける~」は、東京オリンピックでの選手の活躍を見越した選挙対策っぽくて “あざとい” 表現ですね(苦笑)。石油・天然ガスやメタンハイドレート等の国産資源の開発に取り組みながら、アジアの “現実的な” エネルギー転換に積極的に関与するとしたところは、脱化石燃料 一本槍の欧州勢とは一線を画す動きで、なかなか面白いと思います。 ゲームを有利に進めるのに、ルール作りから主導権を握らなければ駄目なのは、スポーツもエネルギー政策も同じです。

※一部の表現を改めました。