社長ブログ

社長、五輪に思いを馳せる⑧

こんにちは。㈱昭和技研工業の岩井です。衝撃的な『武漢封鎖』に始まった新型ウイルス騒動、弊社の本社工場の在る首都圏に於いても、ようやく収束の兆しが見えて来ました。同じコロナウイルスで2003年にパンデミックを起こしたSARSの場合、その後に再流行が起こらなかった一方で、凡そ100年前に『スペイン風邪』が世界的に流行した際は、1918年春の第一波の犠牲者が少なかった日本でも、秋の第二波で26万人(罹患者の致死率 1.2%)、翌1919年の第三波でも18万人(同 5.3%)の方々が命を落としたのだそうですから、全く油断できません。お客様にご安心頂けるサービス体制をお約束する為にも、今秋に向け万全の対策を講じていきたいと思います。

さて、出口戦略を語る上でも引き合いに出されることの多いのが、『100年に一度の経済危機』と言われた 2008~2009年のリーマン・ショック。マーケットが急激に縮小していく中ライバル企業が倒産し、実質的にその営業基盤を引き継いだ弊社の場合、その後の業績は順調な回復を見せましたが、私たちの肌感覚は表面上の数字とは全く違っていて、追い風に乗って順風満帆という印象とは程遠いものでした。例えるなら “糸の切れた凧” とでも言うべきでしょうか、荒れ狂う激しい嵐に巻き上げられ、自分の意志とは関係なく強風に流されるままに身を委ね、行き先は『風まかせ』といった状態。お客様のご要望にお応えするのに精一杯で、結局その傾向は、東日本大震災の復旧復興需要まで続き、”神風が吹く” とは、こういうことを言うのかも知れないと、つくづく感じたものです。今回は、2011年1月の朝礼で取り上げたエピソードから。共感頂けるようであれば、SNSの投稿に『いいね』下さい(笑)。

皆さんは、『フォロー(追い風)』と『アゲンスト(向かい風)』、どちらが有利だと思いますか? スポーツの中には『アゲンスト』の方が有利なものも有って、代表的な例ではノルディク・スキーのジャンプ競技。国際スキー連盟によれば、風速1m/秒の向かい風が吹くと飛距離が約5mも伸びるそうで、不公平をなくす為、現在は風向きによって点数を補正するルールとなっています。10m/秒を超える海風が名物、プロ野球千葉ロッテの本拠地は ZOZOマリンスタジアム。上空ではセンターからホーム方向に吹く風が、バックネット裏の観客席にぶつかって吹き降ろし、マウンド上のピッチャーは向かい風をまともに受ける形に。2010年日本シリーズの第3戦、これを巧みに利用したのが千葉ロッテの渡辺俊介投手。持ち味の緩い変化球は強い逆風に変化を増し、中日相手に97球、省エネの完投勝利で、リーグ3位からの下剋上の原動力となりました。

ジャンプの飛距離が伸びたり、変化球の切れが増したり、これらは向かい風から受ける『揚力』を利用しています。五輪種目でもあるセーリング(ヨット)競技、『風まかせ』のスポーツと思われるかも知れませんが実は違って、セールに受ける向かい風により生じる『揚力』と、センターボード(船底にある横流れ防止用の板)に受ける水流からの『揚力』を巧みに利用して、風上に向かって進むことも出来るんです。風向きに対して45度方向。従って その航路はジグザグとなり最短距離とは行きませんが、ライバルの位置取りを予測しながら風向きや波・潮流を読み取って、無限の選択肢から最善のルートを選び出し、他艇より早くゴールすることを目指します。大海原を舞台に向かい風を物ともしない このセーリング競技、コロナ・ショックという逆風に晒されている今、私たちの一つの参考になるかも知れませんね。

2011年1月の朝礼を、当時の私はこう締め括っていました。「私が船長だったら、乗組員の人数分のオールも載せます。風が止んだら、皆で漕ぐしかありませんから(苦笑)。」今回は流石に、この手の “根性論” は お勧め致しません。未知のウイルスとの長期戦、業種によっては、手遅れになる前に一度 “けじめ” をつけるという選択も、一つのオプションなのかも知れません。長い人生、少し遠回りになっても良いじゃないですか。世界には、幾つもの会社を潰しながらも、成功を掴み取った起業家が大勢いると耳にします。日本では何故それが難しいのか? “再挑戦の出来る国” 。ポスト・コロナの日本が、そんな国に生まれ変わってくれることを期待したいと思います。

※一部、表現を変更しました。